コミュニケーション・ラボ
地代所明美の「ハッピー・タッチング」コラム バックナンバー
第4回
「添う」、その小さくも強い力。
今年もあと少しを残すばかりとなりました。
クリスマス、お正月と、子どもにとってはワクワクするイベントがいっぱい。1年で一番お子さんたちの心が騒がしく、おうちの中もにぎやかになる時期ではないでしょうか。
親にとってはサンタさんの準備(!)やら、年の瀬のあれやこれやであわただしい時期ではありますが、子どもの笑顔につつまれると報われますよね。
でも・・・。
ふと世の中を見渡すと、楽しい年の瀬とばかりは言っていられないような、子どもをめぐる悲しい事件が相次いで起きています。これらの報に接する時、同じく小さなお子さんや生まれたばかりの赤ちゃんがいらっしゃる方にとっては、とても人ごととは思えず、いたたまれない気持ちになることでしょう。
「わが子をいかに守るか」。
これは切実な問題です。身を守るための具体的な対策を考えない限り不安は増していくばかり。親ができること、子どもができること、その両面で「生命の安全」を確保する必要がありますね。
「知らない人に声をかけられたら逃げる」。
「『いや』と言う」「大きな声をあげる」。
なるほど、対策を立てることは「すごく大切」なはずなのですが、この方法に向き合う時、私は少し複雑な気持ちになってしまいます。これは言い換えると「悲しい結果を招かないためにコミュニケーションを事前に回避する」ということであり、つまり、私どもコミラボが最も大切に思っている「コミュニケーション力・コミュニケーション感度」が
育まれる土壌が失われていくことになりはしないか、という思いにかられるからです。
相手に「大好き!」という思いを伝え(発信)、と同時に相手の「今、どう感じているか」「何を伝えようとしているのか」をキャッチ(受信)する力は、日々の「あたたかいふれあい(プラスのコミュニケーション)」の中で育まれていきます。
この「力」は、頭で考えているだけでは生まれない、育たない。日々意識して向き合い、実践することで育っていく「力」なのです。
コミラボは、「ハッピー・タッチング」というコミュニケーションメソッドを通じて、一人一人の「伝え合う・感じ合う力(コミュニケーション力)」を最大化していくということを活動の大きな柱としています。
でも、現実的には「悲しい事件を未然に防ぐ」ために、「本当に親密な、安心できる関係性以外は、新たな出会い・コミュニケーションの可能性を遮断する」ことが優先的に選択されようとしています。
近年の地域ネットワークやコミュニケーションの希薄化も、子供をめぐる犯罪を助長しているといわれています。近隣の人も「知らない人」であり、「知らない人→危険→コミュニケーション回避」という図式で整理する方が、「とにもかくにも安全」なわけです。
この環境で、果たしてコミュニケーション力・感度はどうやって育っていくのだう・・。そう思うと、暗澹たる気持ちになります。
近隣・地域がセーフティネットとして機能していくことの必要性を切実に感じます。保育園・幼稚園・学校などの施設、家以外の、第三の「安全でここちよい居場所」を、子どもたちに提供してあげたい、そう思います。
「プラスのコミュニケーション」を交換できる関係性をできるだけ多く持ち、その中で学び、コミュニケーションの感度を高めていくことこそが、実はその後の新しい出会いに対して、「それが(悲しいできごとに発展する危険性をはらむ)ネガティブなコミュニケーションかどうか」を、直感的に判断する力になり得る、と私は思います。
「逃げよう!大きな声でNOと言おう!」ではなく、「さあ、出会おう!ふれあおう!笑顔でお話しよう!」と手放しで言えたらどんなにいいでしょう。それができない現実、本当に本当に辛くなります。
自分の子どものためにできること、世の子どもたちのためにできること・・・、その第一歩はとっても小さなことから始まるのかもしれません。
最愛の赤ちゃんを、お子さんを、しっかりと抱きしめてあげましょう。
「あなたを思っているこの手は、こんなにあったかいよ。」と伝え、
「あなたが返してくれるぬくもりは、それ以上にもっとあったかい」と感じましょう。
豊かな眠りにつくそのおでこ、ほっぺ、胸にそっと手のひらを当ててあげてください。
しばらくじっと、ただただ手を添える。そうすることで、心も自然と赤ちゃんに「添う」でしょう。
あなたのあたたかい手を添えたまま、「ゆっくりねんねしてね。すてきな夢を見てね。」
と、そう伝えてください。お子さんの、すてきな笑顔を思い浮かべながら。その「存在そのもの」に感謝しながら。
お母さんとお子さんの「あたたかい絆」こそが、未来に向かう「明るい光」の大きくて太い大切な「確かな根っこ」です。